「すごい迫力で、圧倒されました」
「獅子舞に、病気を食べてもらったと思う」
そんな声が聞かれたこの日。
CLASWELL下石神井に、桃井第五小学校の子どもたちをはじめ、中学生や大人の皆さんによる「井草囃子(いぐさばやし)」がやってきました。
太鼓の力強い音。
笛や摺り鉦(すりがね)の響き。
そして、大人と子どもの獅子舞。
いつもとは少し違う音と空気に包まれた、特別な時間となりました。

太鼓、笛、摺り鉦。
重なり合う音に、思わず引き込まれて
演奏が始まると、太鼓の迫力ある音に、笛や摺り鉦の音色が重なります。
やさしく響く瞬間もあれば、ぐっと力強さを増す瞬間も。
一つひとつの楽器が奏でる音が重なり、次々と表情を変えていきます。
目の見えないご入居者からも、
「演奏が心に刺さった。とっても良かった!」
という言葉が聞かれました。
見るだけではなく、音そのものが身体や心に届いていく。
そんな井草囃子の魅力を感じる場面でした。
演奏とともに登場したのは、大人と子どもの獅子舞。
子どもの獅子舞を担当していたのは、年中の頃から始め、今年で4年目になるそうです。
大人の獅子舞は約10年続けているそうで、長い方では10〜15年にわたって井草囃子に携わっているそうです。
獅子舞は、ご入居者一人ひとりのもとへ。
獅子舞に頭を噛んでもらうと厄払いになると聞いたご入居者からは、
「獅子舞に病気を食べてもらえた」
と笑顔を見せる方もいらっしゃいました。
獅子舞が皆さんの周りを回るたび、自然と口角が上がっていく。
そんなご入居者の表情が印象的でした。

「ずっと楽しみにしていたの。やっと見られて嬉しい」
今回の井草囃子を、ずっと楽しみにされていた方もいらっしゃいました。
昨年は延期になってしまっていたため、
「1年前から、とても楽しみにしていたから、やっと見られて嬉しい」
という声も聞かれました。
また、ご家族が桃井第五小学校の出身だったり、近辺に住んでいた方も。
「懐かしい」と目を細めながら、お話する姿もありました。
目の前で行われている演奏が、ある方にとっては初めて触れるものになり、ある方にとっては昔の記憶につながっていく。
同じ演奏を見ていても、それぞれの心に浮かぶものは違います。
だからこそ、地域で受け継がれてきたものに触れる時間には、演奏を楽しむことだけではない豊かさがあるのかもしれません。

「みんなが驚いて、盛り上がる感じが好き」
今回、井草囃子の部長を務める小学6年生にも、お話を聞くことができました。
井草囃子の中で一番好きなのは、「獅子ぎり」。
獅子が登場し、一気に盛り上がる場面です。
練習で頑張っているのは、「笛や、ほかの太鼓の音をよく聴いて合わせること」。
自分の音だけではなく、周りの音を聴きながら一つの演奏をつくっていく。そうして重ねてきた練習の先に、この日の演奏がありました。
子どもたちが演奏し、ご入居者が笑顔や反応で応え、その反応を見た子どもたちもまた嬉しくなる。
一緒にその場をつくっているような時間が流れていました。

世代を越えて、受け継がれていくもの
井草囃子は江戸時代後期から継承されている伝統的な祭り囃子で、地域の入学式や夏祭り、学校行事、お祭りなど、さまざまな場で披露されています。
今回お話を聞いた時点では、荻窪八幡神社の例大祭でも、保存会の皆さんやほかの小学校のクラブと一緒に演奏する予定とのことでした。
年中から獅子舞を始めた子ども。
部長として仲間の音を聴きながら演奏する小学6年生。
10年、15年と続けている大人たち。
さまざまな世代の人が関わりながら、一つの伝統が受け継がれています。
その音を、ご入居者が目の前で聴き、懐かしさを感じたり、病気や厄が払われることを願ったり、思わず笑顔になったりする。
なかなか間近で触れることのできない伝統の重みと、そのあたたかさを感じる時間となりました。
CLASWELL下石神井で生まれた、世代を越えたひととき。

「今日も、いい一日だったね」
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