2026年6月10日、CLASWELL府中中河原でヴァイオリンとフルートによる「DUO RECITAL」が開かれました。
出演は、ヴァイオリニストの菅野さんとフルーティストの幅絵さん。
ジブリやディズニー、昭和歌謡、クラシック、映画音楽、J-POPなど、世代を超えて親しまれてきた楽曲が数々演奏され、ご入居者やご家族が音楽に耳を傾けるひとときとなりました。
「今日も、いい日だったね」と思える時間を目指して
今回の演奏会は、CLASWELL府中中河原のレクリエーション委員会を中心に企画されました。
「CLASWELL府中中河原には、神経難病や終末期のがんなどにより、外出や大きなイベントへの参加が難しいご入居者も多くいらっしゃいます。そのため、ホームの中で生の音楽に触れられる機会をつくりたいと思いました」
そう、担当スタッフは語ります。
演奏を聴き終えたあとに、「今日も、いい一日だったね」と感じていただけるような、日常生活の延長線上にある、少し特別な時間。
そんなイベントになることを願い、準備を重ねてきたそうです。

そして当日、演奏会場となった共用スペースには、多くのご入居者が集まりました。
皆さまは手元のプログラムを見ながら演奏に耳を傾け、ときには演奏者の姿をじっと見つめながら音楽の世界に浸ります。
演奏されたのは、ジブリ作品やバレエ音楽、美空ひばりさんの「川の流れのように」など、どこか懐かしさを感じる楽曲たち。
そして、この日のプログラムには、ご入居者から事前に寄せられたリクエスト曲も取り入れられていました。
大河ドラマ『篤姫』のテーマ曲をリクエストされたご入居者は、「私がリクエストした曲なんです。選んだ曲を生で聴くことができて感動しました」 と、演奏後に笑顔で話してくださいました。
ただ音楽が流れているのではなく、自分の想いが演奏として形になる。その喜びが感じられる場面でした。

「ふるさと」に耳を傾け、涙する姿も
この日の演奏の中でも、特に印象的だったのが「ふるさと」が流れた場面でした。
どこか懐かしい旋律に耳を傾けながら、静かに目元をぬぐうご入居者の姿がありました。
その涙が、どんな記憶に触れたものだったのかはわかりません。
けれど、ふるさとを思う気持ちや、大切な人との時間、かつて過ごした場所の風景が、音楽とともに心の中に浮かんでいたのかもしれません。
言葉で語らなくても、音楽が確かに届いていることが伝わってくる。
そんな静かであたたかな時間でした。

当日は9割以上のご入居者が参加され、最後まで演奏を楽しまれました。
中には、普段は物静かなご入居者が、ご自身のリクエスト曲が流れた際に声を出して喜ばれる場面もありました。その方の記憶や感情にそっと触れ、その人らしい表情や反応を引き出す時間にもなっていたように感じます。
また、演奏者のお二人からも、こんなお言葉をいただきました。
「ホスピスって想像よりも、明るい雰囲気なんだと知りました」
「とても素敵な場所だと思いました。またぜひ演奏しに来たいです」
ご入居者やご家族にとってだけでなく、演奏者やスタッフにとっても、この日の時間は心に残るものだったのではないでしょうか。

お一人おひとりへ、音楽を届ける時間
演奏会終了後には、今回お身体の状態から会場に出るのは難しかったご入居者の居室を訪問し、個別演奏を行いました。
それまで中々目を開けることのなかった方が、演奏を聴きながら涙を流される姿に、ご家族も目に涙を浮かべながらそっと手を握り寄り添われる場面がありました。
「参加できない」で終わらせるのではなく、どんなご状態であっても届けたい。
お一人おひとりの想いに寄り添ったこの取り組みこそが、CLASWELLらしいケアの形と言えるのかもしれません。

今回の「DUO RECITAL」は、美しい生演奏を楽しむだけのイベントではありませんでした。
ご入居者のリクエストを取り入れること。
会場に来られない方にも、居室まで音楽を届けること。
そして、その時間をスタッフがそっと見守り寄り添うこと。
そうした一つひとつが重なって、演奏会は単なる催しを超えた、あたたかな時間。今回の音楽イベントは会場にいた方にも、居室で過ごされた方にも、それぞれの心に残る一日となりました。






