さいたま市の大宮エリアに位置するホスピス型住宅「CLASWELL大宮」。
ここでホーム長を務める梅木さんは、かつて箱根駅伝で走る選手として、そして、実業団でも活躍したトップアスリートという異色の経歴を持っています。
競技者としてチームを率いてきた梅木さんが、なぜ今、ホスピスの現場にいるのか。
「制度の狭間で困っている人を救いたい」
「一人ひとりの得意領域をパズルのように組み合わせ、最高のチームを作りたい」
その情熱の裏側には、勝負の世界で培った「本気で向き合う」という強い覚悟がありました。
異業種からのキャリアチェンジを考えている方や、チームマネジメントに興味がある方はぜひみていただきたいです。

「箱根駅伝」から「介護」の世界へ。異色の経歴が紡ぐ、新しいケアの形
梅木さんのキャリアの原点は、陸上競技にありました。
東海大学で駅伝に打ち込み、卒業後は実業団へ。
その後、創部まもない東京国際大学駅伝部のコーチとして、ゼロからチームを箱根駅伝出場へと導く重責を担ってきました。
「当時は部員もいない状態からのスタート。スカウトから練習メニューの作成まで、すべてを任されました。5年以内に箱根へ、という目標に向かって必死でしたね」
その後、縁あってデイサービスの世界へ転身。
ハイスペックなリハビリを提供する現場で、「人の体」を扱う共通点を見出したといいます。
「スポーツも介護も、構造的なアプローチは似ています。ただ、次第に公的な保険制度の中だけでは救いきれない”グレーゾーン”にいる方々の存在が気になるようになりました。もっとスピード感を持って、社会の課題を解決できる場所はないか。そう考えていたときに出会ったのが、CLASWELLでした」
親会社である霞ヶ関キャピタルも掲げている「課題を価値に」という理念が持つ、ワクワク感に惹かれ、福祉業界は未経験ながらも飛び込む決意をしました。

「今日くらい大丈夫かな」と妥協しない。家族の覚悟に寄り添う専門性
入社後、CLASWELL下石神井で数ヶ月間副ホーム長として経験を積んだ後に、新設されるCLASWELL大宮のホーム長に抜擢された梅木さん。
ホーム長としての梅木さんが大切にしているのは、入居前のご家族との対話です。
ホスピスを検討されるご家族の中には、まだ「さいご」を受け入れられず、「まだ大丈夫じゃないか」という期待と、現実の間で揺れ動いている方が少なくありません。
「入居を目前に亡くなられたご家族がいらっしゃいました。ご遺族からは『本人は本当に楽しみにしていました。一日でも早く入居させてあげたかった…ありがとうございました』と、涙ながらに感謝の言葉をいただきました。ご契約に至るまで、ご家族が抱える複雑な葛藤や迷いを一緒に紐解き、想いを整理しながら歩んできた。その積み重ねがあったからこそ、あのようなお言葉をいただけたのではないかと感じています。」
医療的・介護的な知見を持って、ご家族が「ここで穏やかに過ごそう」という覚悟を持てるよう整理をお手伝いする。そのプロセスがあるからこそ、CLASWELLが掲げる「今日も、いい一日だったね」という実感が生まれるのだといいます。
「『今日くらい、この対応で大丈夫かな』という妥協は一切したくない。
あの時に梅木さんが声をかけてくれたから心が整理された、と思ってもらえる存在でありたいんです。それは駅伝のタスキをつなぐ緊張感と、ある種同じかもしれませんね」

チームは「パズル」。個性を活かし、閉鎖的な介護の現場をオープンに
マネジメントにおいては、コーチ時代の経験が色濃く活かされています。
「一人でできることには限界があります。でも、看護、介護、事務…それぞれの得意領域をパズルのように組み合わせれば大きな力になる。スタッフには駅伝でいう『この人は2区を走るエース、この人は山登りの5区』というように、個性を最大限に活かせる配置を常に考えています」
梅木さんが率いるCLASWELL大宮は、地域に対しても非常にオープンです。
近隣住民がふらりと見学に来たり、寄贈の申し出があったりと、これまでの閉鎖的な施設イメージを覆す変化が起きています。
「外からの見られ方を変えたいんです。セミナーやイベントをオープンに開催し、地域と結びつく場所にしたい。そのためには、まず働く私たちがワクワクしていることが大事だと思っています」

「ありがとう」だけではない現場で、ブレずに進める理由
ホスピスの現場は、決して感謝の言葉ばかりではありません。
時には厳しいお言葉をいただくこともあります。
それでも梅木さんの足が止まることはありません。
「陸上の練習は、一年のうち休めるのは数日だけ。しんどいことをやり抜く強さはそこで培われました。ホスピスも同じで、本当に『その人のためになりたい』という想いを曲げずに、持ち続けられている人は強いと感じます。僕自身もブレずに進み続けられています」
面接でも、定型的な質問ではなく「その人の思いの丈」をじっくり聞くという梅木さん。ミスマッチを防ぐために、自分自身の想いも全力で伝えます。
「ここには、ワクワクしながら課題に立ち向かえる人が活躍できるステージが、間違いなくあります。ご入居者も、スタッフも、ここに来てよかったと思える場所を一緒に作っていきたい。僕自身の思いも聞いていただきつつ、お互いに齟齬がないようにしています」
アスリートのような清々しさと、ご入居者ファーストの温かい心を持つ梅木さん。
彼が作るチームは、今日も誰かの「最高の一日」を支えるために、全力で走り続けています。






