2025年6月8日、CLASWELL下石神井にてドッグセラピーイベントを実施しました。
2匹の犬がご入居者の元に訪れ、普段はみられない光景が広がった当日の様子をお伝えします。

「今日も、いい一日だったね」
CLASWELL下石神井は、がんや難病を患い、治療の継続が難しい方が、人生の最終章を穏やかに過ごすための「ホスピス型住宅」です。
一般的に「ホスピス」と聞くと、どこか重たくて暗い看取りの場をイメージされる方も多いのではないでしょうか。
ですが、私たちCLASWELLはどんな状態の方にも、これまでのご自宅での暮らしの延長線を、そして今日を「生きる」ことを感じてほしい、そんな思いを持っています。

だからこそ、私たちはあえて、イベントやレクリエーションを行うようにしています。
寝たきりの方も多いし、暗いイメージを変えるのは難しい。
でも、一瞬一瞬に、誰かと笑いあったり、話したり、触れたりする時間があるなら、ここは、“人生を諦める場所”ではなく、“人生を感じる場所”になるはず。
そう思って日々取り組んでいます。
“90歳だから写真なんていいのよ”と遠慮されていたのに…
イベント前に起きた、あるご入居者とのほっこりエピソード。
イベントの様子を撮影していたカメラマンが、ある女性に「お写真撮ってもいいですか?」と聞くと、「私はもう90歳だから写真なんて…」と遠慮されていました。
でも試しに、と一枚撮らせていただき、その写真をみた途端
せっかくだから入れ歯を入れたいから持ってきて!お洋服も!
と娘さんに頼まれ、まるでお出かけ前の若い女性のような表情でおめかしを始められたのです。
幾つになっても、どんな場所にいても、自分らしさを大事にしたいということは、変わらないものですよね。

2匹のセラピードッグとのふれあいが、昔の記憶をたぐり寄せる
「どんなわんちゃんが来てくれるのかしら?膝に乗せて撫でたりできるかしら?」
そう話してくださったのは、昔17kgの中型の保護犬を飼っていたというご入居者。
しっかりと体格のあるワンちゃんだったそうで、目を細めながらその頃のことを語ってくださいました。


他にもみなさん、昔飼っていたペットの種類や大きさ、名前、思い出エピソードなどたくさんの会話が広がっていました。
ふわふわの2匹が登場すると、会場に集まったみなさんの表情は一気に綻び、目線は2匹に釘付けに。

普段は口数が少なく、居室でひとり過ごすことが多い男性のご入居者は、以前カメラマンをされていたんだそう。
動物のこともよく撮っていたのかワンちゃんに手を伸ばしたとき、まるで昔の記憶が蘇ったかのように、その目は、どこか懐かしそうで、普段はみられない表情をされていました。

その後も、ご入居者の口からぽろぽろとこぼれる昔話。
「うちの犬、よく脱走してね」
「名前がね、変わってるのよ」
記憶の扉を開けるように、いろんなことを思い出す時間になりました。

当日集まったご家族も笑顔でその話に耳を傾け、職員も初めて聞くようなエピソードがたくさん飛び出しました。
わんちゃんはお部屋への訪問もしてくれました。
前日からこの日をとても楽しみにしていたと嬉しそうに教えてくれたご入居者の元へ。
それまでなかなか目を開けられなかったのに、娘さんが「わんちゃん来たよ」と声をかけると、ゆっくりと目を開けてくれたのです。

私たちと、こんな時間をつくりませんか?
「看取りの場でイベントなんて、やらなくていい」
そんな声があるかもしれません。
でもCLASWELL下石神井では、その人が生きている限り、毎日がかけがえのない時間であり、できることはたくさんあると信じて、日々のケアに向き合っています。
「今日もいい一日だったね」と心から言える毎日を、一緒につくっていける看護師さん・介護士さんはぜひお問い合わせください。
私たちはいつでもお待ちしております。