上井草駅から徒歩9分にあるホスピス型住宅「CLASWELL下石神井」
ここには、「今日もいい一日だったね」とおだやかに一日を終えてもらうために、毎日走り回っているホーム長がいます。
福島県出身。19歳で介護の世界に入り、施設での現場経験を積み、その後はベンチャー企業で在宅介護の立ち上げにも関わってきた草野さん。
「なぜホスピスで働きたいと思ったのか」
「ご入居者やスタッフにどんな姿勢で向き合っているのか」
その背景には、身近な人を突然失った経験や、ご本人のまっすぐな価値観がありました。
ホスピス型住宅での仕事に興味がある方や、将来ホーム長・マネジメントを目指したい方に、ぜひ読んでいただきたいお話です。

「やりたい」に素直になったら、ホスピスが見えた
2025年6月にCLASWELLへ入社し、わずか4ヶ月でホーム長に就任。そこに至るまでには、介護の中でも幅広い領域を経験してきた歩みがありました。
「もともとは調理師になりたかったんです。でも、色盲を持っているので、その道を選びづらいとわかった。じゃあ次は何をしよう、と考えたときに“これから介護のニーズが伸びる”という話を聞いて、自分もそこに貢献できたらと思って介護の仕事を始めました」
前職では在宅サービスのベンチャーで、立ち上げメンバーとして約10年。事業が安定してきた一方で、「次のステージに進みたい」という気持ちも大きくなっていったといいます。
「前職に不満があったわけじゃないんです。むしろやり切った実感があった。でも、もっと自分の「やりたい」に素直になってもいいのではないかと改めて考えたときに、自然と『ホスピスで働きたい』という答えが出てきました。ちょうどそのタイミングでCLASWELLを知って、応募しました」
そのとき決め手になったのが、親会社・河本社長のスタンスだったそうです。
「社会にとって必要な課題に真正面から向き合う、という姿勢がすごく印象的でした。僕自身、すでに完成された組織に入るよりも、これから伸びていくフェーズで自分の経験を活かしたいタイプなので、CLASWELLにはまだつくっていける余白があると感じました。」

弟を突然亡くした原体験。「人は、いつ会えなくなるかわからない」
ホーム長の一日は、申し送りがある9:30頃からスタートします。ただし、そこから先に「決まったルーティン」はほとんどありません。
「施設全体の状況を見ながら、事務作業、見学対応、本部との打ち合わせ、スタッフとの面談や雑談、たまに親睦を兼ねた食事…とにかくやることは多いです。ご入居の問い合わせは1分1秒が大事なことも多いので、優先順位をつけて、できるだけ早く対応するようにしています」
ご入居の段取りを早く進めることは、ご本人やご家族にとって安心につながる重要なところ。だからこそ「今やるべきこと」を常に組み替えながら動いているといいます。
「ご入居者もスタッフも、どちらかだけを見ていたらダメになってしまう。どちらも大事にしたいので、目を配る範囲は自然と広くなりますね」

そんな草野さんの根っこには、数年前に弟さんをくも膜下出血で亡くした経験があります。
「頻繁に連絡を取っていたわけではなかったんです。でも、遺品を整理したり、弟の会社の方に話を聞いたりしていくうちに、“弟がどんな人生を送っていたのか、ちゃんと知らなかったな”と思ったんです。兄として、もう少し気にかけていたらよかったのに、と後悔もしました」
その経験から、「後で連絡しよう」「また今度話そう」という“当たり前”が、当たり前じゃないことを痛感したと言います。
「人って本当に、いつ会えなくなるかわからない。だから、目の前の1分1秒を大事にしたい。ここにいるご入居者も同じです。気になる方がいたら通りがかりに声をかける、部屋をそっとのぞく、ちょっとだけ話す、そういう小さな積み重ねを大切にしています。」
そうした日々の声かけが、あるご入居者とのやりとりにもつながりました。
「がん末期の男性のご入居者がいたんです。つい周りには冷たく当たってしまう方だったのですが、天涯孤独の方だったので、“本当は寂しいのかもしれないな”と思って、通るたびに声をかけていました。
ある日、夏祭りで移動のお手伝いをしていて、車椅子で一緒に過ごす20分くらいの時間ができたんです。そのとき、窓の外を見ながら“生きてるって感じがする。みんなに感謝してる”ってぽつっと言ってくれて。
遠くを見る顔がとても穏やかで、胸が熱くなりましたね。『やってきたことは間違ってなかったかもしれない』って思えた瞬間でした」

いいケアは、いいチームからしか生まれない。ホーム長として意識しているスタッフへの接し方
ご入居者へのまなざしと同じように、スタッフへのまなざしもとても丁寧です。
「スタッフが気持ちよく働けていなければ、ご入居者も安心して過ごせないと思っています。ご入居者やスタッフは、自分を映す鏡でもあると感じています。もしスタッフが笑っていないなら、それは僕が笑えていないということ。だから、まずは僕が僕自身にもちゃんと向き合いながら働くことが大事だと思っています」
日常の関係づくりも、できるだけセクションを超えて自ら取りに行くようにしているそうです。
「日々仕事の話だけをするのではなく、雑談を通してスタッフの考え方や心身のコンディションなどを気にかけるようにしています。
職員と日々のコミュニケーションで発生する「小さな約束」を守り続けることが信頼関係の構築につながると信じています。
職員との会食も大好きです。雑談を通して職員が何を大事に仕事をしているかわかるから」

ご入居者もスタッフも「ここに来てよかった」と思える場所に
介護の現場では、入居者満足度を上げようとするとスタッフが疲弊したり、その逆になってしまったりすることがあります。そんな中で草野さんは「どちらかを犠牲にしない」運営を目指しています。
「ホームが安定していることが大前提です。その上で、ご入居者が終末期を自分らしく納得して過ごせること。そしてスタッフが“ここで働いてよかった”と思えること。この両方を叶えたいんです。
たとえば、病院では叶えにくい家族と一日中一緒にいる時間や、「もう一度食べたい」をかなえること。そうしたご入居者の「やりたい」を実現したいというスタッフの気持ちを、きちんと受け止められるホーム長でありたいです。
誰か一人の都合だけが通る場所にはしたくないんです。ご入居者、ご家族、スタッフ、みんなの「こうしたい」をちゃんと尊重する。『誰一人として置き去りにしない』っていうのを、ここで体現していきたいですね」

こんなふうに、CLASWELL下石神井では、日々の小さな声かけや、1分1秒を無駄にしない姿勢から、その日をいい一日で終えられる空気がつくられています。
草野さんのように、ご入居者にもスタッフにも同じ熱量で向き合いたい、現場をまとめる立場で働きたい、そんな人にとって、ここはとてもおもしろい現場があります。
興味がある方はお問い合わせお待ちしております。






