これは、CLASWELL信濃町で、2025年5月21日に行った音楽イベントの記事です。
普段はそれぞれの居室で静かに過ごすご入居者の皆さんが、この日は車椅子やストレッチャーでイベントスペースに集まりました。
1時間のピアノイベントの様子をお届けします。

「自分がプロデュースした音楽を、もう一度聴きたい」
このイベントのきっかけは、あるご入居者のひと言でした。
有名バンドのプロデューサーをされていたSさん。
「もう一度自分がプロデュースした音楽に触れたい」と希望され、ご家族も本人の希望を叶えたいと。
Sさんに訪問マッサージをしていた、株式会社株式会社東京在宅サービスのスタッフがその想いを聞き、信濃町のスタッフと相談し「音楽イベントを開こう」と準備を進めていました。
社内にイベントスタッフなどはおらず、有志で特技やスキルがある方を募ります。
協力くださったのは音大出身のAさん。

「音楽って、昔の思い出を引っ張り出してくれたり、気が紛れたり、心にスッと入ってくるじゃないですか。病気になっても、寝たきりになっても、そういう時間があるっていいなって思うから、今日ここにきました。」
しかし、イベントの実現を前にSさんは旅立たれました。
しかし、Sさんの思いを受け、他の方にも音楽を届けたらきっと喜んでくれる方はいるはず。
施設に電子ピアノを導入し、今回のイベント開催に踏み切りました。
ピアノの演奏で、目を開け口を動かし歌い始めた
この日、参加されたのはがんや難病などの病を患うご入居者。
「昔、ピアノを弾くのが趣味だったのよ。難しくて断念した曲もたくさんあるんだけどね」
そう笑って教えてくれました。
断念したという曲も今回のラインナップに。
ピアノの独奏から始まり、「青い山脈」など、みんなで歌える曲も織り交ぜて約10曲。
ピアノの演奏が始まると、先ほどまで目を閉じていた方が、目をはっきりと開けて、口を微かに動かし歌い始めました。

そして、まるで昔の思い出が蘇ってきたかのように、目には涙が。
普段は発語が難しくても、音楽を通じて気持ちが動き、感情が揺れて、言葉にならない言葉が溢れているのかもしれません。
最後の一曲は、一緒に参加されたご家族からのリクエスト。
「吉幾三とかどうかな?パパ昔よくカラオケで歌っていたじゃない!」と。
音楽が、空気を和らげ、心をほどいていく。
その場には、ご家族の方々、地域からボランティアで来てくださった方もいて、「ホスピス=閉ざされた場所」ではない、あたたかく開かれた時間が流れていました。


CLASWELLでは、終末期を生きる人たちにとって「ただ過ごす場所」ではなく、「その人らしさが戻る瞬間」が生まれる場所を目指しています。
音楽の力を借りながら、これからもそんな時間を一緒につくっていきます。

私たちは一緒にこの場所をつくってくれる看護師・介護士の方を募集しています。
「終わりの時間」をあたたかく照らす仕事に、少しでも関心があれば、ぜひお声がけください。
CLASWELLでは一緒に働く仲間を募集しています。
応募される方は下記より直接ご連絡お待ちしております!